寒冷地(北海道)にて独立基礎を作って目隠しフェンスを設置する方法や5つのポイント、注意点などを解説していきます。
独立基礎で作る目隠しフェンス
北海道の氷点下地域にて独立基礎を作って目隠しフェンスを設置する方法を紹介していきます。
この記事の内容は自分で目隠しフェンスを作ろうと考えている方の参考になる内容になっているかとは思いますが、私自身プロではないためあくまで参考程度に見ていただき、各自法律や耐久面・安全面などをよく確認していただければと思います。
紹介する施工例は、高さ1800mm、幅12600mmのフェンスを傾斜がある位置に設置する場合のものになります。
水平・垂直をどれだけ正確にとりながら作業していけるかで完成度は大きく変わり、作業量的にも1人では結構大変なため、難易度はやや高いかもしれません。
板の種類は、1番安く自分でメンテナンスもしやすい1×4材を使用していきます!
不明な工具や用語があった際はこちらの「DIY用語一覧」をご参照ください。
必要な道具・素材
木材・部品等
- A板:フェンス長(幅90 × 長さ1795 × 厚さ19)× 68
- B板:フェンスの両端列(幅90 × 長さ1820 × 厚さ19)× 34
- C板:フェンス短(幅90 × 長さ895 × 厚さ19)× 19
- D板:フェンスカバー(幅40 × 長さ1710 × 厚さ19)× 8
- スペーサー(幅10 × 長さ40 × 厚さ20)× 144
- 独立基礎ブロック(200 × 200 × 高さ450)× 14
- アルミ支柱(60 × 60 × 2100) × 14
- 皿ネジ(フェンス板固定用)
- 鍋ネジ(フェンス板カバー固定用)
- セメント
- 砂
- 砂利
- 油性塗料
- ハケ(コテバケがおすすめ!)
フェンスに使用した板は1×4材(ワンバイフォー)で、価格が安く加工しやすいのが特徴の木材です。
ただし、加工がしやすい分シロアリなどの被害も受けやすいため、長持ちさせるためにも必ず防腐・防虫の油性塗料を使うようにしましょう。
今回は坂道にフェンスを作るにあたって3つの段差を作って設置したため、木材は4種類のサイズに加工しましたが(A・B・C・D板)、平らな場所にフェンスを作る場合はC板が不要になります。
工具
- 丸ノコ等
- 電動ドライバー(下穴あけ・ビス打ち)
- 電動サンダー
- クランプ
- メジャー
- 水平器
- ペットボトル・ホースΦ10mm程(水盛り用)
- 水糸
- 木工用ボンド
- やすり
丸ノコ等
木材を加工するために必要になり、今回の場合は”卓上丸ノコ”という電動工具があると素早くカットしていくことができます。
ただ、この先DIYなどをやっていく方であれば購入しておくと非常に便利な工具ですが、今回のフェンス作り以外に使用予定がないという方はホームセンターなどで木材を購入した際にカットしてくれる場所もありますので、そちらを利用する方が出費は抑えられます。
電動ドライバー(下穴あけ・ビス打ち)
ビス留めの回数がかなり多いため電動ドライバーは必須となり、下穴あけ作業もあるためインパクトドライバーがあるとアルミなども簡単に下穴あけができます。
電動ドライバーは作業効率だけでなく、完成度も高くなるためDIYをやる方には必需品とも言える存在です。
電動サンダー
電動サンダーは電動工具でやすりがけをしてくれるもので、フェンス作りに使用する木材の量がかなり多いため電動サンダーがあると作業効率があがり、疲労度も和らげてくれます。
ちなみにやすりがけはムラなく塗料を綺麗に塗るためにも必ず行った方が良い作業です。
水平器
目隠しフェンスを作るにあたって要になるのが水平器で、基礎ブロックやアルミ支柱が水平・垂直になるように確認しながら作業するのに使用します。
クランプ
材料を動かないように挟んで固定する道具のことで、約1800mmもある板を自分で支えながらビス留めをしていくのは厳しく、ズレの原因になってしまうため、クランプでしっかり固定しながら作業していきます。
メジャー
1mmnの誤差はフェンスの歪みに繋がるため、扱いやすくなるべくしっかりとしたメジャーを使うようにしましょう。
また、さしがねなどもあると便利です。
ペットボトル・ホースΦ10mm程(水盛り用)
水盛りとは水平を出す作業のことで、ホース内を水で満たし、水の位置を見て水平を測ることができます。
水盛りの道具はペットボトルとホースで簡単に自作することができます。
水糸
水平を示す際に使用する糸のことで、ブロックや支柱の水平(高さを揃える)を水盛りで出し、水糸を張って目印になるようにします。
5つのポイント
- 細かい部分までしっかり計算する
- 氷点下地域では○㎝以上掘る
- 水平・垂直はしっかりとる
- 1mmのズレも妥協しない
- 木材フェンスはやすり・塗装をしっかり行う
1.細かい部分までしっかり計算する
ブロック基礎同士の距離や板のサイズ、支柱の高さなど細かいところまで全て計算してから作業を行わないと、耐久性も低いガタガタのフェンスになってしまいます。
あとになって「厚みの分を計算していなかった」等とならいように設計図を作り、間違いがないかよく確認してから作業するようにしましょう。
2.氷点下地域では凍結対策を行う
- 凍結深度に合わせて穴を掘る
- 砂利を轢く
- モルタルで根巻きする
氷点下地域でフェンスを建てる場合は凍結対策を行わないと土に含まれた水分などが凍結して支柱が隆起したりしてしまうため、お住まいの凍結深度(地表から下の地盤が凍結する一定の深さ)を確認して穴を掘ります。
例えば凍結深度が60㎝の場合、最低でも60㎝の穴を掘って15㎝砂利を轢き、その上に45㎝の基礎ブロックを設置してその周囲をモルタルで根巻きします。
砂利は通水性が高いため凍結を防ぎ、基礎ブロックを根巻きすることで周りの土の隆起によって支柱が歪むの防ぎます。
ただし、凍結深度はあくまで目安であり、私が紹介した方法を実施したからといって必ず凍結による被害を防げるわけではありません。
また、支柱の中に水が溜まってしまうと支柱が膨張して基礎ブロックにヒビ(クラック)が入ってしまうため、支柱内に浸水しない対策も必要になります。
ここが氷点下地域の難しいポイントでもありますね!
3.水平・垂直はしっかりとる
耐久性が高く綺麗なフェンスを作るためにはしっかりと基礎ブロックや支柱の水平・垂直を取ることが重要で、基礎ブロックや支柱が曲がっていると張り付ける板が歪む原因にもなってしまいます。
水平器や水糸を使ってしっかり水平・垂直を取るようにしましょう。
4.1mmのズレも妥協しない
1mmのズレは、柱や板のように長ければ長いほど大きなズレになっていってしまいますので、1mmのズレも妥協せずピッタリとなるよう丁寧に作業していきましょう。
物作りはこの1mmズレも作らないことがとても大切になります。
5.木材フェンスはやすり・塗装をしっかり行う
フェンスとして使う木材を長持ちさせるためには、防腐・防虫効果のある油性塗料を塗ってあげるのが効果的で、ムラなく綺麗にしあげるためにも必ずやすり掛けを行うようにしましょう。
可能であれば塗装は2〜3度塗りすると良いです。
作り方(坂道での施行)
- 水糸を張る(基礎ブロック設置用)
- 穴を掘って転圧
- モルタルを練って基礎ブロックを設置
- アルミ支柱を設置
- 木材の加工、塗装
- 支柱に板を張る
- 完成
私の実際に行ったやり方を紹介しますが、それが必ずしも完璧なやり方というわけではありませんので、もし他にも効率の良い方法があればそのやり方でやっていただければと思います。
1.水糸を張る(基礎ブロック設置用)
まず最初に基礎ブロックを設置するにあたってブロックの列と高さを揃えるために水糸を張っていきますが、今回は高低差が90㎝ほどある坂道にフェンスを設置していくため全部で3本の水糸を張りました。
使用する道具は水糸、鉄筋、水盛り管、水平器です。
まずブロックの列を揃えるために水盛り管を使って上段のブロックの高さで端から端まで①基準の水糸を張り、基準の水糸に合わせて中間の鉄筋を真っ直ぐ(水平器を使いながら)差し込んでいきます。
次に基準の水糸から段差ごとに20㎝ずつ下げて②、③の水糸を張っていきます。
もし平らな場所でフェンスを設置する場合は、基礎ブロックに対しては水糸1本で大丈夫です!
水糸を張り終えたら、基礎ブロックを設置する間隔(今回は90㎝間隔)ごとに養生テープなので印をつけていきますが、ブロックの端っこと印を合わせる形にしておくと、ブロックを設置する際に合わせやすくなります。
2.穴を掘って転圧
深さ60㎝、幅は40〜50㎝くらいの穴を掘っていきます。(基礎ブロックが200mm角のブロックなので、プラスモルタルで根巻きするサイズの幅20㎝〜くらい)
穴を掘ったら転圧し、その上に砂利を15㎝入れさらに転圧します。
転圧とは、土や砂利に圧を加えて密度を高める作業のことで、簡易的な転圧機を用意するか最悪足でしっかり踏み固めましょう。
砂利から地表までの距離が45㎝以下になるとブロックが飛び出してしまいますが、逆に45㎝以上の深さができる分にはモルタルで調整が効きます。
3.モルタルを練って基礎ブロックを設置
モルタル作り
モルタルを作る際の基本的な配合は上記のようになっており、水が多いと固まりやすいがモルタルの強度が弱くなるなど、水の量によって変わったりします。
モルタルを作る際のポイントとしては、まず土とセメントだけでしっかり混ぜてから(空練り)水を入れるようにしましょう。
また、モルタルを人力で混ぜて作る場合は一輪車に入れて行うのが混ぜやすく、運ぶのも楽なためおすすめです。
基礎ブロックを設置
モルタルを練ったら砂利の上にモルタルを轢き、水糸に合わせながらモルタルの上に基礎ブロックを置いていきます。
その後水平器と金槌を使って水平になるように調整していきます。
モルタルを厚く轢きすぎるとブロックの高さが飛び出しすぎてしまうし、逆に少なすぎると調整が効かなくなるため少し難しいかもしれません。
砂利を1,2㎝少なくしてモルタルの量を増やすのもありかもしれませんね!
ブロックが綺麗に揃っていると、完成度も高くなりますので妥協せずしっかり高さや水平を取るようにしましょう。
基礎ブロックを根巻きする
基礎ブロックを水平に設置できたら、その周囲にブロックの高さの半分くらいまでモルタルを流し込んで固めます。
モルタルが固まるまでの目安時間は24時間ほどで、夏であれば翌日には次の作業に移って問題ありません。
4.アルミ支柱を設置
アルミ支柱とブロックに印をつける
アルミ支柱は高さ2100mmあり、基礎ブロックの中に深さ300mm埋めるため支柱の1800mmの位置に印を付けますが、モルタルの汚れを防ぐ目的も兼ねて養生テープを巻いて印にすると良いでしょう。
凍結防止のために水抜き穴をつけたいという方は、支柱の1800mmの位置に小さな穴を空け、そこにペグ等を差し込めば、水抜き穴兼支柱の高さ固定ができます。
ちなみに私は水抜き穴を空けた方がそこから水が入り、凍結してしまうのではと考えているため現段階では空けていません。
また、ブロックにも支柱の列を揃えるために水糸を張っていきますが、支柱は60mm角のものを使用するのでブロックの端から7㎝の位置に水糸を張ります。
画像は一個のブロックに水糸を張っていますが、柱を綺麗に揃えるためにも両端のブロック同士を水糸で結ぶようにしましょう。
両端のアルミ支柱を建てる
水糸を張ったらブロックの半分から3分の2くらいまでモルタルを入れ、支柱を挿していきます。
ブロックと柱の間に養生テープを巻いた止め木(三角形の木材)を入れると柱がずれないように固定することができるので、モルタルがある程度固まったら止め木を外して上までモルタルを入れていきます。
画像の中で地面に落ちているのが止め木になります。
水糸を張って全てのアルミ支柱を建てる
両端のアルミ支柱を建てたら上と下2箇所に養生テープで柱が傷つかないように保護し、その上に水糸を張ります。
1箇所だけだと水糸に合わせても支柱が傾いてしまう可能性がありますので、上と下2箇所に水糸を張り、さらに水平器を使って完璧な水平・垂直を目指しましょう。
5.木材の加工、塗装
木材の加工
木材をカットしていくには卓上丸ノコがおすすめで、画像のように卓上丸ノコに合わせた固定ガイド(マイターソーステーション)を作っておくと2本目以降は計測しなくても同サイズにカットできるため、かなりスピーディーに加工ができます。
ただ、今回のフェンス作りだけで今後はあまり使用しない可能性がある方は、購入した木材を1カット数十円でやってくれるホームセンター等もありますので、そちらにお願いすると良いかと思います。
やすり掛け
今回私が作ったフェンスのサイズでは129枚の板があるため、効率よく作業していくことが必要となります。
そのためにはまず電動サンダーを使ってやすり掛けをすることをおすすめします。
手でやすりを掛けてもいいですが、腕がパンパンになるのとムラができやすくなってしまうため効率やムラの少なさを考えると電動サンダーはあった方が良いでしょう。
塗装
塗装には防腐・防カビ・防虫等の効果があり、内部から守ってくれる油性浸透型のキシラデコールを使用しました。
また、ハケにはムラなく綺麗に塗ることができるコテバケを使用しましたが、本当に綺麗かつ素早く塗装することができ、塗料も無駄なく使用することができましたので、塗装する際はコテバケがかなりおすすめですよ!
塗装は2〜3度塗りするようにしましょう。
6.支柱に板を張る
板張り(A板B板C板)
地表に出た1800mmの支柱に、厚さ89mm(図面はわかりやすいように90mmとして作成)の板17枚と10mmのを18個ずつスペーサーを貼っていきますが、板は上から順番に張り付けていくことで板がガタガタにならず綺麗に貼り付けていきやすくなります。
実際の流れとしてはまず支柱の一番上にスペーサーを貼っていき、次に板をスペーサーに合わせてからクランプで固定して板の中央部分にドリルで下穴を空けてからビス留めしていきます。(両サイドはカバー板の上から固定するためこの時はビス止めしません)
この時、板は膨張したりする可能性があるため横の板同士の間隔を5mm空けて作業していきます。
10mmのスペーサーを挟みながら板を取りつけていくことで、フェンスの隙間が綺麗な10mm間隔になります。
また、板同士の隙間が5mmが適切かどうかは正直わかりませんが、ピッタリくっつけて貼り付けていくのだけは避けておきましょう!
あとは同様の作業をひたすら繰り返していくだけですが、打ち込んだビスの位置がきちんと揃っているかどうかで完成度はかなり変わりますので、綺麗な1列になるように計測しながらビス打ちするようにしましょう。
カバー張り(D板)
5mmの隙間がある板と板の間部分に上からD板(カバー板)を張りつけていきます。
ビス打ちする場所はスペーサー部分で、カバー、スペーサー、支柱まで貫通させますが、スペーサーの厚さが1×4材の厚さと同じくらいないと隙間ができてしまうため、上記で紹介したスペーサーを使う場合は2枚重ねにするか自作するかの対応が必要になります。
スペーサーを2枚重ねにすると出っ張り過ぎてしまう場合は、カバー板をスペーサー分を削るか、スペーサー自体のサイズを小さくしてから重ねると良いでしょう。
7.完成
最後に土を被せれば完成です。
今後、フェンスの段差に合わせて土留め(階段)作っていったりする予定ですので、完成した際はまた記事を書いて紹介したいと思います。
照明をつけると夜もおしゃれに!
フェンスに照明を取り付ければ夜間もおしゃれな庭を楽しむことができます。
画像はソーラー式の照明を使用しているため電気代も掛からずおすすめです。
施工期間と掛かった費用
木材 | 37,920円 |
アル支柱 | 72,720円 |
塗料 | 29,381円 |
独立基礎ブロック | 約23,562円 |
モルタル(砂、砂利、セメント) | 約20,000円 |
その他 | 約10,000円 |
合計 | 約193,583円 |
施工期間は雨でできない週もありましたが、大人2人、週1〜2日のペースでおよそ3ヶ月で出来ました。
正確にわからないものはおよそで計算していますが、高さ1800mm×幅1260mmの目隠しフェンスに掛かった費用は約193,583円ほどとなっており業者に頼むよりはかなり節約になります。
ちなみに塗料などは多めの16Lを購入しましたが、今回の作業だけなら半分くらいの量でも足りました。
安く抑えられたことはもちろんですが、なにより自分で作った分フェンスに愛着が湧き、その後のちょっとしたメンテナンスも自分で出来るため、DIY好きの方にはぜひチャレンジしてみてほしいと思いまうす。
ただし、道路や歩道に面する場所に設置する場合は、台風にも負けないくらい丈夫に作らないと怪我をさせてしまう恐れがありますので十分注意して作るようにしましょう。