
DIYや木工作業で「ねじを締めたら木材が割れてしまった」「穴あけ位置がズレてしまった」「部材同士がズレてしまった」という経験はありませんか?
実はこれ、ちょっとした手順のミスや知識不足が原因で起こるトラブルなんです。
本記事では、木材が割れたりズレたりする主な原因と、それを防ぐためのネジ締めの基本テクニックを初心者向けに分かりやすく解説します!
木材が割れる原因と対策

原因①:下穴を開けずにねじを打ち込む
木材の種類や木目、穴あけ位置など、様々な原因によってねじ締め時に木材が割れてしまうことがありますが、下穴を開けてからねじを打ち込むと木材が割れるリスクを大幅に下がります。
逆にいえば下穴を開けずに電動ドライバーでねじ打ちしてしまうと、木材が「バキッ」と割れてしまうのです。

木材の割れを防ぐためには、下穴を開けることが最も効果的といえますよ!
下穴の開け方
下穴の開け方は簡単で、打ち込むねじよりも小さい径のドリルで穴を開けるだけです。
もし、打ち込むねじよりも大きい径のドリルであけてしまうと、当然ねじが締まらなくなってしまいますので、大体1mmくらい小さいドリルを使うと良いでしょう。

また、ねじの頭が材料から出っ張らないようにねじを埋め込むための加工を”皿取り”と言いますが、皿取りをすることで表面が滑らかになり、見た目も綺麗になります。
もし、皿取り加工をせずに無理矢理ねじを打ち込んでしまうと、木材が割れたりしてしまいますので注意してください。
その場合は、皿取りと下穴開けが両方同時にできる”スターエムの皿取錐”がおすすめです。
下記商品であれば”埋木錐”もセットとなっており、上記画像のようにねじ穴を目立たないようにすることもできます。
詳しい使い方などは下記記事を参考にしてみてください。
原因②:端部に近い位置へねじ打ち
同じ木材でも、端部に近いほど割れてしまうリスクが高くなります。
この場合も下穴を開けることが効果的で、細いドリルから徐々に大きいドリルで下穴をあけていけば、端部でも割れずにねじ締めすることができます。
ただし、あまりにも端に寄り過ぎているとねじ締めの強度自体が弱くなったり、割れやすくなってしまいますので、なるべく端部でのねじ締めが避けるようにしましょう。
穴あけ位置がズレる原因と対策
原因①:ねじやドリルの先端が滑る
ねじやドリルの先端が滑ることによって穴あけ位置がズレてしまう場合があります。
特に鉄工用にも対応したドリルの場合、余計滑りやすくなってしまいます。
対策としては、センターポンチを使ってマーキングすることでねじやドリルが滑ってしまうのを防ぎ、正確なねじ締めや穴あけができるようになります。
※センターポンチとは金属の先端が打ち込まれることで小さなくぼみを作ってくれる工具です。
原因②:垂直に穴があけられない
正確な垂直な穴あけができないのも”ズレ”の原因になってしまいます。
電動ドライバーを使って穴あけをすると、どうしても傾いてしまう場合があり、精度を求める作業の時にはいかに垂直な穴あけを行えるかが大切なポイントとなってきます。
そのため、垂直な穴あけを行うには下記で紹介する2つの方法が有効となってきます。
ドリルガイドを使う

穴あけ時にドリルガイドを使うだけで、手元が安定し、垂直な穴あけが驚くほど簡単になります。
ドリルガイドを使えば、木材に対して正確な角度で穴をあけられるため、割れ防止にも効果的です。
ボール盤を使う

より高精度な穴あけを目指すならボール盤の使用が最も効果的です。
穴あけ深さを設定することもでき、繰り返しの作業も正確かつ効率的に行うことができるため、DIYでも大活躍してくれます。
DIY用のボール盤でも精度は高く、中でも京セラの”TB-1131K”はコスパがよくおすすめとなっていますよ。
上記画像のような自作ボール盤テーブルの作り方についてはこちらをご参照ください。
部材同士がズレる原因と対策
原因①:ねじの締め付けによる引き寄せ
ねじ締めの回転の力が木材に伝わり、接合しようとしてした材料がズレてしまいやすくなります。
これは”固定不足”が大きな要因となっていますので、Fクランプやコーナークランプなどを使ってしっかり固定してあげるとズレずにねじ打ち接合できるようになります。
Fクランプ

Fクランプは挟める力が強いクランプであり、重ねた材料を固定する際に重宝されます。
これにより、ねじ締めや穴あけをズレずに行うことができます。
コーナークランプ

コーナークランプは、木材同士を直角(90度)に正確に固定できるクランプで、主に家具作りや枠の組み立てなどに活躍します。
正確な直角固定は、仕上がりの美しさや強度にも直結するため、1つ持っておくと非常に便利なアイテムです。
原因②:材料の片側しか下穴をあけていない
下穴をあけていたとしても、材料の片側だけしかあけていないとねじ締めの際にズレが生じてしまうことがあります。
対策としては、「両方の材料に下穴をあけること」と「クランプでしっかり固定すること」が有効となります。
電動ドライバーの上手な使い方

これまでの解説で木材が割れたらいズレたりするのを防ぐために、下穴をあけることの重要性が伝わったかと思いますが、正直、電動ドライバーのビットをいちいち取り替えるのってかなり面倒になりますよね。
そんな時は、インパクトドライバーとドリルドライバーの2つを使い分けながら使用するのがおすすめです。
そもそも両者の違いについてはご存知でしょうか。
どちらもねじ締め・穴あけ作業の両方ができますが、一体どんな違いがあるのか簡単に解説していきます。
インパクトドライバーの特徴
- 強い締め付けトルクがあり、硬い材料でもネジ締めしやすい
- 回転+打撃(インパクト)でネジを一気に締め込める
- 太く長いネジでも下穴なしで打ち込めることが多い
- 作業スピードが速く、効率的なネジ締めが可能
インパクトドライバーは、主にねじを締める・ねじを外す作業に特化した工具で、特に長いねじや太いねじ、硬い材料(木材や金属など)に強力に対応できるため、ねじをしっかりと締める際に最適です。また、インパクト機能(打撃機能)を持っており、回転と同時に打撃を加えることで、硬い材料にねじを突き刺す力を発揮します。
ドリルドライバーの特徴
- 回転のみで動作するため、繊細な作業や穴あけに適している
- クラッチ機能付きが多く、ネジ締めの力加減を調整しやすい
- 穴あけ作業に向いており、下穴加工に最適
- インパクトに比べるとトルクが弱く、大きなネジ締めには不向き
ドリルドライバーは、穴あけ作業に特化した工具で、ドリル機能を使って木材や金属、プラスチックに穴を開けることができ、さらにドライバー機能を使ってねじを締めることもできます。ただし、インパクトドライバーに比べると、ねじ締め時のトルク(回転力)は弱めです。
これら2種類の電動ドライバーを使いわけることで、作業の度にビットを交換する必要がなくなり、それぞれのドライバーの特性を最大限活かした作業ができるようになります。